東京地方裁判所 平成4年(特わ)399号 判決 1992年7月07日
本籍
東京都大田区中馬込一丁目三五番地
住居
同都新宿区須賀町七番地
会社役員
塚原理江
昭和一六年一一月一日生
主文
被告人を懲役一〇か月及び罰金二、〇〇〇万円に処する。
この罰金を全額納めることができないときは、二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人は、東京都新宿区四谷三丁目八番地にあるメゾンメトロビル三階においてクラブ「マノン」を、同所同番地にある中央ビルディング八階においてクラブ「エルマノン」をそれぞれ営んでいるものである。被告人は、自分の所得税を免れようと考え、売上げの一部を除外したうえ、実妹の塚原ミドリが共同経営者であり、両店の収入をミドリと折半しているように装うなどの方法により所得を隠して、
第一 昭和六三年分の実際の総所得金額が七、二四二万五、二七四円であった(別紙1修正損益計算書参照)のに、平成元年三月一四日、同区三栄町二四番地にある所轄の四谷税務署において、税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が一、二三七万三、四五九円で、これに対する所得税額が二六四万八〇〇円であるという虚偽の内容の所得税確定申告書(平成四年押第五八四号の1)を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、同年分の正規の所得税額三、三九八万三、六〇〇円と右の申告税額との差額三、一三四万二、八〇〇円(別紙2税額計算書参照)を免れた。
第二 平成元年分の実際の総所得金額が四、三〇〇万三、九九二円であった(別紙3修正損益計算書参照)のに、平成二年三月一四日、四谷税務署において、税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が一、一二四万六、九五一円で、これに対する所得税額が二一七万六、四〇〇円であるという虚偽の内容の所得税確定申告書(同号の2)を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、同年分の正規の所得税額一、七〇九万四、一〇〇円と右の申告税額との差額一、四九一万七、七〇〇円(別紙4脱税計算書参照)を免れた。
第三 平成二年分の実際の総所得金額が七、六八二万八、九〇九円であった(別紙5修正損益計算書参照)のに、平成三年三月一三日、四谷税務署において、税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が一、四一一万四、二〇四円で、これに対する所得税額が三一〇万九、六〇〇円であるという虚偽の内容の所得税確定申告書(同号の3)を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、同年分の正規の所得税額三、三七三万九、六〇〇円と右の申告税額との差額三、〇六三万円(別紙6税額計算書参照)を免れた。
(証拠)
(注)括弧内の算用数字は、押収番号を除き、証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。
全事実について
1 被告人の
<1> 公判供述
<2> 検察官調書二通
2 塚原ミドリ、平井清満の検察官調書
3 調書二五通(甲2ないし7、9ないし22、25ないし27、29、31)
4 電話聴取書
第一の事実について
5 調査書四通
<1> (甲8、24)
<2> (甲28)
<3> (甲30)
6 所得税確定申告書一袋(平成四年押第五八四号の1)
第二の事実について
前記5<2>の証拠
7 所得税確定申告書一袋(同号の2)
第三の事実について
前記5<1>の証拠
8 調査書(甲23)
9 所得税確定申告書一袋(同号の3)
(法令の適用)
罰条 いずれも所得税法二三八条一項、二項(情状による)
刑種の選択 いずれも懲役刑と罰金刑を併科
併合罪の処理 刑法四五条前段
懲役刑について 刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第一の罪の刑に加重)
罰金刑について 刑法四八条二項(各罪の罰金額を合算)
労役場留置 刑法一八条
刑の執行猶予
懲役刑について 刑法二五条一項
(出席した検察官蝦名俊晴、弁護人峰谷英夫)
(裁判官 朝山芳史)
別紙1
修正損益計算書
<省略>
別紙2
税額計算書
<省略>
別紙3
修正損益計算書
<省略>
別紙4
税額計算書
<省略>
別紙5
修正損益計算書
<省略>
別紙6
税額計算書
<省略>